MENU

一般社団法人ソフトウェア協会(SAJ)
設立40周年記念企画

日本のソフトウェア産業の
過去・現在・未来を語る

  • SAJ 会長
    さくらインターネット株式会社 代表取締役社長

    田中邦裕

  • SAJ 筆頭副会長
    サイボウズ株式会社 代表取締役社長

    青野慶久

  • SAJ 筆頭副会長
    株式会社ピーエスシー 代表取締役

    鈴木正之

(写真左から)青野慶久氏、田中邦裕氏、鈴木正之氏

クラウドやノーコード/ローコードツールの普及、そして生成AIなどの新技術によって、ユーザー自身がソフトウェアを容易に開発できる時代が到来しようとしている。「デジタル黒字」への転換が日本経済の課題となる中で、設立40周年を迎えるSAJは、どのような施策を打ち、日本のソフトウェア産業をグローバルで戦える産業へと成長させていくのか。
SAJの田中邦裕会長(さくらインターネット代表取締役社長)、青野慶久筆頭副会長(サイボウズ代表取締役社長)、鈴木正之筆頭副会長(ピーエスシー代表取締役)の三人による、日本社会への提言を含めた熱い議論の模様を紹介する。

プレイヤーが入れ替わり
クラウド化、DX推進が定着

――このような対談は、設立30周年を記念した記事以来10年ぶりです。
この間、日本のソフトウェア産業において印象的だった出来事や、業界の変化についてお聞かせいただけますか。

田中:

最も大きな変化は、業界におけるプレイヤーの入れ替わりが顕著になったことです。かつては国内の大手メーカーが日本のIT産業を主導していましたが、次第にネット系企業やSIerなど、ソフトウェアビジネスを主体とする企業が業界の中心軸になってきました。IT業界がハードウェア主体からソフトウェア主体の産業へ移行するとともに、クラウド化、AI化の流れの中で新しい勢力が次々に登場していると感じます。一方で、大手のハードウェアメーカーの時価総額は依然として高く、数倍に伸長した例もあります。日本のIT業界が本気で変わり始めた兆候かもしれません。
もう一つは、「儲け方」の変化です。国内のIT産業は成長を続けていますが、伸びる勢いは2022年ごろが一つのピークだったと言われています。従来のITビジネスは少しずつ下降が始まり、代わりに台頭したのがコンサルティング、クラウド、そしてAIです。情報システムの導入はもはや当たり前になり、それ自体では収益性の高いビジネスを展開するのは難しくなりました。今は、お客様の課題に深く入り込むコンサルや、クラウド、AIの活用といった付加価値によって収益を上げる構造へと変わってきています。
私がSAJに入会したのが10年ちょっと前ですが、当時は「クラウド化すると既存事業の売り上げが下がる」といった雰囲気が業界にありました。しかし、今やその結果は明らかで、クラウドに舵を切った企業はこの10年で大きく成長しました。
加えて、教育です。10年前はそこまで注目されていませんでしたが、最近は技術者教育が非常に重視されています。自社サービスの認定資格制度を用意しているクラウド事業者もありますが、そのような制度は事業者のシェア拡大に大きく貢献していると思います。

――モノ売り(プロダクト思考)からコト売り(サービス思考)への転換の必要性は、
10年以上前から言われていましたが、その変化が具体的に見える形で表れたのがこの10年で、
実践した企業は成長を遂げたというわけですね。

田中:

SAJの歴史を振り返っても、和田成史元会長・現名誉顧問(株式会社オービックビジネスコンサルタント代表取締役社長)の時代に「パソ協(日本パーソナルコンピュータソフトウェア協会)」から「CSAJ(コンピュータソフトウェア協会)」へ名称を変更し、ASP、つまり現在で言うクラウドサービスを中心とする方針を打ち出しました。当時は会員企業が減少し厳しい時期でしたが、その後底を打ち、荻原紀男前会長・現名誉会長(株式会社豆蔵インベストメント代表取締役会長兼社長)の時代に、クラウド化の後押しと社会に対するロビイング活動を強化しました。当時はまだハンコが当たり前の時代でしたが、そこからクラウド化やデジタル化を推進し、2021年にはデジタル庁が発足しました。
ただ、足元を見ると外資系サービスへの依存度が高くなっており、単にクラウド化すれば良いというわけではない状況です。今後は、この2、3年で高まっている、国産ソフトウェアで黒字を生み出すムーブメントをさらに強くしていく必要があります。この10年の変化を経て、日本のソフトウェア企業も世界で自信を持って戦える土壌がようやくできてきたと感じます。

――青野さんにとっての10年前は、まさにクラウドへ大きく舵を切られたタイミングだったと思います。

青野:

当社の話で恐縮ですが、2015年から2025年の間に売り上げは5倍強に成長しています。これはまさにクラウドにコミットし、その波に乗って伸びた結果です。この10年は、社会全体がクラウドに向かっていった時代でした。その過程で生まれた変化として、かつてのコンピューターメーカーがハードウェア事業を縮小し、サービスやコンサルティングへ軸足を移した一方、ITインフラは外資に依存するようになりました。それだけに、さくらインターネットの田中さんには、国産クラウドとして頑張っていただきたいですね。
一方、顧客側の変化で大きいのは、「DX」という言葉が完全に定着したことです。当初は“バズワード”かと思われましたが、10年を経ても使われ続けており、日本企業に「トランスフォームしなければいけない」という意識が根付いたのは大きな変化です。その背景には、労働力人口の減少による深刻な人手不足があります。そして、コロナ禍が社会のデジタル化を後押ししました。リモートワークが強制的に導入され、小学校のPTAの会議ですらオンラインで開くようになり、社会全体でデジタル技術を使わなければならないという状況が生まれました。

――従来と比べて、ユーザー企業側のITに対する期待にも何か変化を感じられていますか。

青野:

クラウドの柔軟性、迅速性を活用した上で、ローコード/ノーコードの技術や、最近は生成AIを導入することで、IT部門ではなく現場が主体となるソフトウェア開発が可能になりました。IT人材不足を補うことにもITを活用しようという動きは、新しい潮流だと感じています。
この10年で面白かったのは、プログラミング教育ブームです。一時期は「誰もがプログラミングを学ぶべき」という風潮がありましたが、生成AIの登場でその潮目が変わりつつあります。米国でも大手IT企業が技術者の採用を抑制するなど、プログラミングスキルがあれば安泰という時代ではありません。学ぶべき対象としてのプログラミングの位置づけが、この10年で大きく上がって下がった、という印象です。ITを使いこなすスキルはますます重要になっていますが、今はその中で「何を学べばいいのか」を皆が模索している、少し混迷の時期に入ったのかもしれません。

日本のソフトウェア業界には
大きなポテンシャルがある

――鈴木さんは、ITの導入や活用を支援するSIerの立場から
この10年のソフトウェア業界をどうご覧になっていますか。

鈴木:

私はSAJで人材委員会の委員長を務めていますので、お二人とは少し違う視点で業界についてお話ししたいと思います。この10年を振り返って、日本のソフトウェア業界には大きなポテンシャルがあるとあらためて感じています。
米国企業はプレゼンテーションで「地球」や「数十億人のマーケット」を語るように、初めから世界を視野に入れている。一方、日本のソフトウェア企業は中小企業がほとんどで、加えて、日本社会は少子高齢化という課題も抱えています。私はかつて不動産業界に身を置いていましたが、国内の中小規模の工務店は厳しい状況に追い込まれています。ソフトウェア業界も同じ道をたどるのではないか、という見方はあるでしょう。
しかし、私はそうはならないと考えています。なぜなら、他国と比べて日本のソフトウェア企業は多くの技術者を抱えており、人口あたりの技術者の数で言えば、米国に迫る規模があります。しかも、質が非常に高く、一社一社のお客様に深く寄り添い、素晴らしいアプリケーションを個別に作り上げる能力は世界トップクラスです。
ただ、それが故に、個別開発にとどまってしまっていることが課題です。米マイクロソフトのサティア・ナデラCEOとお話しした際、「日本は個々のソフトウェアを作る能力は素晴らしいが、細かすぎて数が多いため、バージョンアップの頻度が少なくレガシーになってしまう」と指摘されました。もし、この膨大なレガシー資産を、AIエージェントなどの技術で容易にバージョンアップできれば、世界に誇れるアプリケーション群になる可能性があります。

――優秀な技術者が豊富であるにもかかわらず、そのスキルを活かす戦略に課題があるわけですね。

鈴木:

多くの優秀な技術者の存在は、日本の大きな強みです。IT業界は、今のところ放っておいても下がることのない産業ですが、米国に比肩するほど成長させるためには足りないものがあります。それは、個々の力を繋ぐ「横の議論」のダイナミズムではないかと考えています。これは非常にもったいない状況で、日本のIT業界には、まだ活用されていない宝が眠っています。

米、欧、中の代替となり
外貨を稼げる産業に育てる

――ここまで、10年前から現在に至るまでを振り返ってきましたが、ここからは次の10年についてお聞きします。
日本のソフトウェア産業がさらに成長するにあたって、どのような課題があるとお考えですか。

田中:

最大の課題はグローバル化です。日本は今でも世界で11番目に人口が多い国で、国内市場だけでもビジネスが成り立ってしまう。しかし将来を考えれば、アジアを始めとする海外市場に出ていく必要があります。
世界を見渡すと、米国、欧州、中国の製品やサービスに少し疲れを感じている国も多いように思います。そこで重要になるのが、「オルタナティブ(代替)」としての日本の存在です。特定の国や企業への依存度が高まることはリスクです。例えば、ソフトウェアやサービスの価格を急に値上げされたり、日本市場から撤退されたりする可能性があります。ここ数年の世界を見ていると、国家間の対立など地政学的な理由で製品やサービスの供給を止められた事例もありました。イデオロギーによってインフラが停止するリスクは、自国でテクノロジーをコントロールできないことの危険性を物語っています。
その点、日本は戦後80年にわたり「信頼される製品提供者」としての地位を築いてきました。この信頼を武器に、米、欧、中ではない新しい選択肢として、日本のソフトウェアを長期にわたって安定的に提供することは、グローバルに通用する優れた価値です。世界で大きなシェアを取れる可能性がありますし、世界シェアの10%でも取れれば、国内市場だけとは比較にならない大きなビジネスになります。

――青野さんは、今後のさらなる成長に向けて、どのような課題が見えていますか。

青野:

今、国産ソフトウェアにとって初めての追い風が吹いていると感じています。私が起業して28年、ずっと米国の製品は巨大なライバルでした。政府ですら「なぜ米国製ではいけないのか」という雰囲気でしたが、円安や外資系企業の大幅な値上げによって、国内の顧客もようやくオルタナティブが必要だと気づき始めています。
この追い風を活かし、日本のIT産業を外貨が稼げる産業に育てていくことが、次の10年のテーマです。これまで日本の基幹産業は自動車産業でしたが、タイで中国BYDの電気自動車が普通に走っているのを見て、その地位も安泰ではないと感じました。日本には強みもあります。円安は、見方を変えれば「安く人材を雇用できる国」ということです。また、安全な国であるため、海外の優秀なエンジニアも日本で働きたいと思ってくれます。このアドバンテージを活かして、日本でソフトウェアを作り、海外へ輸出していくべきです。

――今までも、日本製のソフトウェアを海外で販売しようという議論は繰り返されてきたと思いますが、
ようやくそのチャンスが見えてきたということですね。

田中:

ゲームの世界では、日本で企画・開発されたソフトウェアがグローバルで相当に売れています。「日本製だからソフトウェアが売れない」というのはあり得ないことです。SAJの会員企業にはゲーム会社も多く、ビジネス向けソフトウェアの業界は、その方々のグローバルでの活躍に学ぶべきことがとても多いと思います。

青野:

特に生成AIは大きなチャンスだと思います。AIの強さは学習データの質と量で決まりますが、日本にはアニメやゲームのようなコンテンツ、製造業のノウハウ、小売業のデータなど、世界に誇れる質の高いデータが豊富にあります。これらを生成AIに学習させてサービスとして提供すれば、十分に世界で戦えます。要は、既にあるものを使える形にしていくのが大事ということです。

――先ほど鈴木さんからは、日本には優秀な技術者が大勢いるというお話がありました。
日本のソフトウェア業界が成長するため、日本人のスキルをどう活用していくべきでしょうか。

鈴木:

総論としてはお二方と同じで、AIが日本にとって大きなチャンスであるということです。日本は各産業が縦割りで、それぞれに技術者が付いていて、深い知見とデータを持っています。AIを使えば、それらを繋いで、新しい価値を生み出すことができます。話題に挙がったアニメの世界では、生成AIで絵を描けるようになったことで海外も追随してくるでしょう。しかし、その根幹となるストーリーを作る力は日本のクリエイターに強みがあります。日本は、AIを使って人の強みをいち早く世界に広く展開していくことで、さらに先を行くことができます。
横の繋がりの欠如という現在の課題を克服するための議論を進めて、各業界、各企業が持つ素晴らしい技術やデータを、もっと連携させる仕組みが必要です。このままでは宝の持ち腐れになってしまいます。特に、全ての産業の中で、最も資産としての宝が眠っているのはIT産業で、あらゆる産業と繋がっている、いわばAIの元です。これをどう活用できる形に変えていけるかに、日本の未来がかかっていると思います。戦略さえ変えれば、日本は世界に十分勝つことができます。

生成AI、ノーコードが自前での
個別開発を可能に

――ITベンダーの方々は、これまで良くも悪くも個別最適の開発を生業にしてきたという事情があります。
そこは、これからどう変化すると思いますか。

鈴木:

個別の業務に最適化されたシステムは、人間が作るアプリケーションからAIやロボットに取って代わられるようになり、人間はより人間らしいことに注力するようになっていきます。お客様も、AI活用を推進するためにITベンダーに支援を求めていますが、お客様の代わりに開発や運用を行う人を必要としているというよりも、エージェントやアシスタントを強化することによってDXを推進し、生産性を高めていく方向へと向かうと思います。

青野:

パッケージと個別開発は、今、大きな転換点にあると思います。これまではパッケージソフトに業務を合わせるか、高コストな個別開発をするかの二択でした。それがクラウド、ノーコード/ローコード、生成AIによって、時間もコストもかけずに実現できるようになろうとしています。日本の場合、お客様側にはほとんど開発者がいないので、外部のSIerが伴走することで、自分たちで現場の業務に最適なアプリケーションを作成、運用できるようになるでしょう。
この状況は日本の企業文化との相性が良く、日本の現場力の高さが活かせると思います。米国ではジョブディスクリプション(職務記述書)の壁があり、アプリの開発が容易にできる仕組みがあっても、「それは私の仕事ではない」となり現場での改善が進みにくい。しかし、日本では現場の人が主体的に学習し、カイゼンを進める文化があります。この文化と新しいテクノロジーが組み合わさることで、現場でDXが進み、データが蓄積され、それがまた新しいAIサービスとして価値を生む、という好循環が生まれるのです。
農業や不動産業の会社がITサービスを始めたりと、日本のあらゆる産業がIT企業に変わっていく動きが既に起きています。これは、ベンダーとユーザーの境がなくなる新しい世界の始まりです。各産業の専門知識を持つ人たちが、ノーコード/ローコードやAIを使って自らITサービスを生み出していく。この流れを加速させることが、日本の未来を拓くと信じています。

田中:

当社も、かつては業務ソフトの個別開発をお願いしていましたが、その多くをクラウドサービスへ移行しました。また、経営陣にCIO(最高情報責任者)やCDXO(最高DX責任者)のポジションを置く企業が増えて、そうしたお客様とはITビジネスの話がすぐに通じるようになりました。ベンダー側、ユーザー側の両方で変化は確実に起きています。
10年前のIT導入の目的はコストダウンが中心でしたが、今はいかに売り上げを伸ばすかにフォーカスする企業が増えて、その実現のためのソリューションに変化したと強く感じます。今はまだ、デジタル技術の恩恵は一部の企業に留まっていますが、AIを含めて、テクノロジーが広く一般に浸透すると、日本国民が豊かになったと実感できる社会が到来すると思います。
企業はインフレで給与アップの圧力を受けているという話もありますが、AIやデジタル技術によって、その企業が収益を増やすことで解決していくべきです。特に地方では、「これ以上人件費が高くなると廃業しかない」という声を聞くことがありますが、従業員を低い給与のままその仕事に縛り付けておくようでは、優秀な人材が皆、地方から流出してしまいます。だからこそ、AI活用やデジタル化によって、給与水準が上がっても対応できるだけの企業体力をつけていく必要があります。
少子高齢化社会においても、一人あたりの生産性が高まれば日本のGDPを維持できるし、人口が減る中でも同じGDPのままであれば一人一人の暮らしは豊かになります。それを日本のIT産業の技術、製品で実現し、むしろ輸出するくらいになる必要があります。

鈴木:

グローバル企業の視点から見ると、日本は世界で最も安心してデータを置ける場所と言えると思います。日本は、世界中の重要なデータが集まるデジタルハブ国家になり得ると考えています。

世界のデジタルハブへ
エコシステムが大きな価値を生む

――日本のソフトウェア業界が世界を舞台にビジネス展開を目指す上で、
SAJはどのような役割を担っていきたいと考えていますか。

田中:

SAJの役割は、いくつかのレイヤーで考える必要があります。
まず、マクロ視点では、世界を便利にするソフトウェアを日本が自ら作り出し、輸出していけるようになること。鈴木さんが話されたように、日本が世界のデジタルハブとなる未来像を掲げることです。そのためには、世界の便利なテクノロジーを自由に使用できる国であることも大事です。最新テクノロジーを有し、地政学的に安定し、世界から高い信頼を寄せられる日本が、グローバルのIT産業において重要な役割を担うビジョンを発信し続けることが大切です。
私たちSAJは、国家戦略の中でもソフトウェア、AIという重要なセクターを担っています。参入企業を増やし、優れた製品、技術を作り、人を育てていくことで、将来、利益を生む企業を数多く創出するという、未来への責任を業界として担っていきます。
次に、国への提言です。政府に補助金を求めるだけの業界団体になってはいけません。「こうすれば国が豊かになる」という大きな視点から、ソフトウェア産業を国家戦略の中心に据えるよう働きかけていきます。成長する分野に国が投資をすれば、企業が成長し、雇用が生まれ、税収も増え、国全体が豊かになるという、拡大再生産のストーリーを描いていきます。

青野:

これからのSAJのキーワードは「エコシステム」だと考えています。米国のプラットフォーマーのような巨大企業に一社で立ち向かうのは困難です。しかし、オンプレミスの時代と違ってクラウドの良い点は、APIがあれば、日本の企業が容易に連携し合うことができて、大きな価値を生み出すことが可能になる点です。SAJがそのハブとなり、「みんなで集まって繋がろう」という動きを加速させます。
例えば、海外で開催される展示会にSAJとして共同出展しています。一社では出展のハードルが高くても、団体でノウハウやコストを分担すれば、幅広いソリューションを展示できて、低コストで海外に挑戦できます。これもエコシステムの具体例であり、こういったやり方を進めていかないと、海外で勝つことはできません。企業が集まりやすく、繋がりやすい場を提供し続けること。それが、これからのSAJに求められる最も重要な役割だと思います。

鈴木:

SAJが今後さらに力を入れるべきは、教育と業界連携です。教育では、既にSAJは小学校から大学、高専まで、全国47都道府県で教育機関との連携を始めています。これをさらに推し進め、実践的なIT教育のカリキュラムを国に提言できるようなシンクタンク機能を持ちたいと考えています。例えば、セキュリティ教育に関しては、政府からも相談が来るほどで、カリキュラム作成を担うなど、質の高い教育をリーズナブルに提供できる体制が整いつつあります。
業界連携も重要で、IT関連団体は数多く存在し、それぞれが重複する活動をしている部分もあるので、他団体とも連携して業界の声を一つにまとめていく必要があります。
最終的には、日本のソフトウェア業界が持つ豊富な「知財」を集約し、活用することです。各社の知見やデータを、団体のプラットフォーム上で再デジタル化し、AIを使って分析・活用することで、一社の力では到底作れないような、世界に通用するアプリケーションやエージェントを生み出せるかもしれません。その大きな夢を、業界全体でかなえていきたいと考えています。

――ありがとうございました。今日のお話から、日本のソフトウェア産業の未来が非常に明るいものと感じました。
SAJがその中心的な役割を果たしていくことを期待しています。

BACK TO TOP